愛してるの伝え方
少ししてから、瀬戸くんは抱き締めるのをやめて私の隣に座った。
「あの三人、ミヤちゃんの友達じゃないでしょ」
「わかるんですか?」
「あんまり俺を甘く見ないことだね。
ミヤちゃんのことなら何でもわかるよ。機嫌がいいか悪いかも、親しいか親しくないかもね!」
「確かに仲良くはないですね。ちなみに私はあの人達が苦手です。面倒なので」
「だろうね。そういう表情してたもん」
いつも無表情な私のどこでそう判断出来たのかはよくわからない。
「そろそろ帰りましょうか。花火も終わりましたし」
「そうだね。
あーあ、ミヤちゃんと観れなかったなぁ!」
「またいつか、観ればいいんじゃないですか」
「えっ!
また行ってくれるの!?」
「いいですよ。君が私にテストで勝てたら、ですけど」
「……頑張るよ!」
瀬戸くんよりも先に階段を下り始める。
だからきっと瀬戸くんは知らない。
私が笑ったことを。
さっきまでは楽しくなんてなかったけれど、後ろに瀬戸くんがいてくれるだけで、見える世界が変わった。
私はもう、一人ではいられないのかもしれないな。