愛してるの伝え方
「瀬戸くんおはよ!」
「へっ…あ、おはよ!」
校門までたどり着くと、女子達が瀬戸くんの方に近寄っていった。
私まで捕まりたくないから、捕まった瀬戸くんを犠牲にスイスイと人を避けて靴箱に行く。
基本的に誰も私に興味なんてないから、こういう芸当も簡単に出来ちゃう。
「本当…大変ですよね」
下駄箱で、呟きながら瀬戸くんの様子を眺める。
助ける気はさらさらないけど、同情だけ、してあげた。
「……?」
同情の目を向けた後に靴箱を開く。
中にあるべきはずの上靴がなかった。
「……昨日履いたと思ったんですけどね」
というか、確実に履いた。
だから誰かが私の上靴をここから出したということになる。
……誰が、何のために?
考えてもよくわからないから、考えるのを諦めた。