愛してるの伝え方
「麻木、あんた一体何なの?」

「質問の意味がわかりません」

鈴木さんに連れてこられたのは人が来ることが少ない西階段裏。
そこには既に三人の女子がいた。

「なんであんた瀬戸と一緒にいんの? 全然釣り合ってない」

「瀬戸くんが来るんです。なんで私の方に来るかは瀬戸くんに聞いてください」

「てかあんた、瀬戸のこと好きなわけ?」

「どう思考を巡らせればそうなるんですか。
瀬戸くんは私の好みからかけ離れてますし、ちゃんちゃらおかしいですね」

「ふーん。
じゃあさ、早苗の片想い手伝ってあげなよ」

「鈴木さんの片想い?」

「この子、瀬戸のことが好きなんだって」

そうだったんだ。
鈴木さんを見ると顔を赤くして俯いている。
……恋する乙女だ。

「あ、あの、これを渡して欲しいの!」

鈴木さんに渡された、袋に包まれた何かと、手紙。
両方女子らしくて可愛いデザイン。

「えっと、これを?
瀬戸くんにですよね」

「そうなの! お願いできるかな!?」

「構いませんけど」

鈴木さんはにこりと笑う。やっぱり可愛い。

瀬戸くんと並んでもお互いに引けをとらないんだろうな。

< 59 / 94 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop