愛してるの伝え方
「……っ」

空が光り、体が跳ねた。
何故この日に限ってこんな天気なのだろう。

…瀬戸くんに気を遣わせたじゃないか。


「雷怖いの?」

「見ての通り、です」

これを恐怖と呼ばなければ何と呼べばいいのか。
それくらい怖い。

「俺がいるから大丈夫だよ」

震える体をぎゅっと包んでくれた、彼の温もり。

不思議と、徐々に震えは止まっていった。



「あのさ、ミヤちゃん」

「はい…?」

「俺はどうすればいいの?」

瀬戸くんの声は少しだけ震えていた。

あの日の彼の潤んだ目を思い出す。


いつも笑っていた瀬戸くんの、初めて見る顔。

表情は見えないけど、今もきっとそんな顔をしているんじゃないかと思った。

< 74 / 94 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop