愛してるの伝え方
「私は君みたいな人、正直苦手です。
私のことはお構いなしにひっついてきたり、軽々しく好きだなんて言ってきたり。
人間は思ってもいないことを口で言えるでしょう? 君の好意もそれだと思っていました。

本気かを確かめるのが怖かったんです。もう、誰にも裏切られたくなかったんです。

だから私は君の好意から逃げていました」

ずっと自分に言い聞かせていた。

夢を見ないように。現実だけを見るように。

彼ほどの人が私なんかを好きになるわけない。

そうやって瀬戸くんの好意を否定してきた。

「本気かどうかなんて、何を言われようと、時間をかけようと、判断出来ないですよね。

だけど、私は今、君の言葉が真実ならすごく嬉しいと思ってます。

その言葉が嘘だとしても、君を信じたい。そう思います」

私はなんて馬鹿なのだろう。すごく浅はかだ。

自分の気持ちを伝えるのはこんなにも緊張するのに。

今まで何度、彼の気持ちを否定してきたのだろうか。

彼はそんな私の隣でいつも笑ってくれていた。

純粋にすごいと感じる。

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