愛してるの伝え方
「瀬戸! それは犯罪だ、やめとけ!」

ドアの向こうにいたのは、藤岡さんと橋本くん。
私を押し倒していた瀬戸くんはしてやったり顔になった。

「おかしいと思ったんだ。
こんなところでミヤちゃんと二人っきりになるなんて。
やっぱり雄一と藤岡の仕業か」

「……?
藤岡さん、帰ったんじゃ?」

「ごめんね雅。騙すみたいになっちゃって。
どうしても雅と瀬戸に仲直りしてほしかったの」

「お前ら、泣きそうな顔してたからな」

泣きそうな顔?
した記憶はないけれど。

まぁ橋本くんが言うのだから、そういうことなのだろう。

「いやー、びっくりした。
瀬戸が暴走を始めたのかと…」

「俺の理性は素晴らしく我慢強いからね。暴走なんてするわけないじゃん」

「瀬戸なんかにまんまとはめられたわけか。なんか生きていく意味を失うレベルで悔しいな」

「そんなレベル? 俺がつらい!」

少し思考を巡らせて、やっと理解した。

私も瀬戸くんも、彼らにはめられたみたいだ。

そしてどうにかして中の様子を知っていた彼らを逆手に、瀬戸くんは脱出を図った、と。

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