世界一遠距離恋愛
「…俺さ、死にたくねぇんだよ。」
二人の間に流れた沈黙に、透くんが言葉を入れた。
「俺んち、金がある代わりに愛がねぇんだよ。親父も、お袋も。お前と違って親に愛されない哀れな身なんだよ。お前、金持ちな俺を羨ましそうにするけどよ、俺は両親に愛されているお前の方が余程羨ましいよ。」
「…そっかぁ。」
そう言えば…そうかもしれない。文化祭、体育祭…行事がある度にあたしのお父さんとお母さんは学校へ足を運んだ。お父さんなんてビデオカメラを回したりして「もう高校生なんだから恥ずかしいよ!」なんて言った事もあったかな。そんなあたしを見ると透は決まって
「絵里子ちゃん、良いなぁ。お父さんもお母さんも来てくれるなんて。」
と口ずさんでいた。
「秋風くんもご両親呼べば良いじゃん!」
「いや、良いよ。…俺の親、俺の事嫌いだからさ。」
二人の間に流れた沈黙に、透くんが言葉を入れた。
「俺んち、金がある代わりに愛がねぇんだよ。親父も、お袋も。お前と違って親に愛されない哀れな身なんだよ。お前、金持ちな俺を羨ましそうにするけどよ、俺は両親に愛されているお前の方が余程羨ましいよ。」
「…そっかぁ。」
そう言えば…そうかもしれない。文化祭、体育祭…行事がある度にあたしのお父さんとお母さんは学校へ足を運んだ。お父さんなんてビデオカメラを回したりして「もう高校生なんだから恥ずかしいよ!」なんて言った事もあったかな。そんなあたしを見ると透は決まって
「絵里子ちゃん、良いなぁ。お父さんもお母さんも来てくれるなんて。」
と口ずさんでいた。
「秋風くんもご両親呼べば良いじゃん!」
「いや、良いよ。…俺の親、俺の事嫌いだからさ。」