世界一遠距離恋愛
「…お前まさか俺がこの手術で死ぬとでも思ってんのか?」
「べっ、別にそんな事思ってないしっ!」
「嘘が下手だなぁ。俺は絵里子の考えてる事なんてお見通しなんだから。」
最近、遂に透くんまでもがあたしの考えている事を読み取ってしまう様になった。やっぱりあたし、考えてる事が表情に出ちゃうんだろうなぁ…。
「言ったろ?余計な心配すんな。俺は死なねぇから。」
「でも…成功率低いんじゃ?」
「おう、そうだ。それに俺の手術をすんのは…俺の親父だ。」
「えっ…そうなの!?」
これには少し衝撃を受けた。透くんのお父さんが医者だと言う事は微妙に聞いていたけど、まさかそのお父さんが手術を担当するとは…。
「俺を生かすも殺すも親父次第。まぁ親父、俺の事嫌いだからなー…。」
そんな事を言いながら空を見上げる透くんは微笑んでいた。…最近、透くんが微笑んでいる時って何を考えているのか全然分からない。…あたしも皆みたいに人の心を表情から読み取る事ができたらいいのにな。
「とにかく!俺は死なねぇから。お前はそれを信じて待ってろ。な?」
「当たり前じゃん!絶対生きて帰って来てよねっ!」
…こんな所で死んでもらっちゃ困る。だって、あたし決めていたから。透くんの手術が成功したら…今度はあたしから告白するって。
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