世界一遠距離恋愛
あたしはてっきり全員でお揃いの物を注文したものだとばかり思っていた。…まぁ他の子のメイド服はすごい似合ってる。さくらちゃんの清楚な感じも、ギャルっぽい子の短めのスカートも、スポーツ万能な子のクールデザインも、お色気担当の子にいたっては和服だ。キャラを際立たせる完璧なセレクトになっていてびっくりした。…それに比べてあたしは…。
「まずこのフリフリ、いらないよね?あとこの胸元何?白いフリルみたいなやつ…お姫様みたいなんだけど?」
「それが可愛いんじゃん!絵里子ちゃんはこのクラスのお姫様なんだからっ!」
「だってぇぇぇぇっ!あたしこの中で一番セレクト失敗してると思うんだけどぉぉぉぉっ!」
あたしの着ているメイド服は確かに可愛い。袖も襟元もスカートも、上から下まで誰が見ても「可愛い!」と言える素材をふんだんに盛り込んだデザインだ。おまけにいつものツインテールにはリボンまで付けられて。…でもこれはあたしが着ていい様なデザインではない。もっとこう…可愛い子が着るべきである。
「ホント絵里子ちゃん可愛い…お人形さんみたいなんだけど…。」
さくらちゃんが何に感動したのか急に涙を流し始める。…一体あたしのメイド服にどの様な価値を見出してしまったの、さくらちゃん…。他の子はと言うと、前から後ろから抱き着いてくるし背の高い子なんかは抱っこもしてくる。ほっぺにチューなんかされた時には流石に女の子でも恥ずかしくて暴れた。…これ、完全に小さい子可愛がってるのと同じ感覚だよね?あたしはもう何をされても反応しないぞ…!
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