世界一遠距離恋愛

「絵里子！どうしちゃったのその可愛い格好！ホンット可愛い！もう食べちゃいたいくらいっ！」
花奏に助けてもらったのはいいけど、今度は花奏が自分のクラスにあたしを拉致して溺愛を注いでいる。ぎゅーってされて、ほっぺスリスリされて…花奏のクラスの女の子達の握る携帯のシャッター音が鳴り止まない。
「絵里子、具合悪くなってない？透にハグ以外何もされてない？骨折れてない？」
「心配し過ぎだから！？骨折れてないし！」
でも…あと少し花奏のヘルプが入らなかったらあたしは確実に死んでいたかもしれない。

「あんたねぇ！絵里子のファーストハグを奪ったんだよ！？前の彼氏と恥ずかしくてなかなかハグが出来なかったうぶなあの子に軽々しく…神経どうにかしてるよ！バカ！」
「わっ…わりぃって！分かってたんだけど本能が先に動いちまったんだよ！だってこんな可愛いから…！」
「だからってやって良い事と悪い事も区別できねぇのか！このクソ男がぁぁぁっ！」
「いってぇぇぇぇぇぇっ！」

…花奏の豪快な右足をみぞおちにいれられた透は現在保健室に搬送中。着いて行こうとした所で花奏に拉致られた訳である。