世界一遠距離恋愛
文化祭では唯一屋上の解放が成されていない。むしろ扉には『立ち入り禁止』の張り紙まで貼ってある。
「ま、誰も気付かねぇだろ。」
なんて言いながら、透くんは扉を開ける。立ち入り禁止にするなら扉に鍵かけとけばいいのに…なんて思いながら外に出た。もちろん、その後扉には外から鍵をかける。屋上にいる時くらい、二人きりでいたいという透くんの考えらしい。あたしはそこまでは別に考えていなかったけど、大空を仰げる広い屋上にたった二人でいると思うと心が穏やかになる気もする。
「あー…高校生活最後の文化祭は女の相手で終わりそうだぜ。」
「あたし達、他の所全然回れてないよねー。」
「ホントホント。休憩時間を与えられてもどこかほっつき歩いてて捕まっちゃたまったもんじゃねぇしな。」
「あたしはそういうのないけど…。」
「…お前、今日の自分鏡で見たか?どう考えても男はすれ違ったら一度振り返るぜ?何なら声かけるぜ?もしかしたら不意に抱き着いてくっかもしんねぇ…。」
「それは透くんだけだから!」
「わーったって、冗談冗談。…俺は今の時間が一番楽しいからさ。」
透くんはワイシャツの袖を捲り上げ、ボタンも三つくらい外していた。
「…あの、さ。暑いのは分かるんだけどさ…あんまり胸元が開いているのは…。」
「え?いいじゃん。俺女じゃねぇんだし。」
「恥ずかしいの!せめて外すの二つまでにしよ!?」
「…まさかお前、男の裸苦手なのか…?」
「…うん。」
大袈裟に聞こえるかもしれないが、これは事実である。プールとか海とか、男の人が着る水着は無条件で上半身が裸になる。あたしはそれを恥ずかしくて直視出来ないというどうしようもない奴なのだ。
「マジどこまで純粋なんだよ…困っちまうわ。」
「むうっ、悪かったねっ。」
「そういう所も可愛くて好きなんだけどな。」
そう言いながらまるで小さい子を見る様な目をしてこちらを見ていた。あたしって透くんに何歳児に見られているのかな…とつくづく考えてしまう。
「ま、誰も気付かねぇだろ。」
なんて言いながら、透くんは扉を開ける。立ち入り禁止にするなら扉に鍵かけとけばいいのに…なんて思いながら外に出た。もちろん、その後扉には外から鍵をかける。屋上にいる時くらい、二人きりでいたいという透くんの考えらしい。あたしはそこまでは別に考えていなかったけど、大空を仰げる広い屋上にたった二人でいると思うと心が穏やかになる気もする。
「あー…高校生活最後の文化祭は女の相手で終わりそうだぜ。」
「あたし達、他の所全然回れてないよねー。」
「ホントホント。休憩時間を与えられてもどこかほっつき歩いてて捕まっちゃたまったもんじゃねぇしな。」
「あたしはそういうのないけど…。」
「…お前、今日の自分鏡で見たか?どう考えても男はすれ違ったら一度振り返るぜ?何なら声かけるぜ?もしかしたら不意に抱き着いてくっかもしんねぇ…。」
「それは透くんだけだから!」
「わーったって、冗談冗談。…俺は今の時間が一番楽しいからさ。」
透くんはワイシャツの袖を捲り上げ、ボタンも三つくらい外していた。
「…あの、さ。暑いのは分かるんだけどさ…あんまり胸元が開いているのは…。」
「え?いいじゃん。俺女じゃねぇんだし。」
「恥ずかしいの!せめて外すの二つまでにしよ!?」
「…まさかお前、男の裸苦手なのか…?」
「…うん。」
大袈裟に聞こえるかもしれないが、これは事実である。プールとか海とか、男の人が着る水着は無条件で上半身が裸になる。あたしはそれを恥ずかしくて直視出来ないというどうしようもない奴なのだ。
「マジどこまで純粋なんだよ…困っちまうわ。」
「むうっ、悪かったねっ。」
「そういう所も可愛くて好きなんだけどな。」
そう言いながらまるで小さい子を見る様な目をしてこちらを見ていた。あたしって透くんに何歳児に見られているのかな…とつくづく考えてしまう。