世界一遠距離恋愛
「絵里子せんぱぁーいっ!見てくださいこれ!絵里子先輩のメイド服の写真!」
昼休み、わざわざそれを報告しにあたしの教室までやって来たのはなぎちゃんだ。あまりに突然の事で、飲んでいた牛乳を噴き出しそうになった。
「ちょっ、なぎちゃん!それどうしたのさ!」
「文化祭で少し暇が出来たもので絵里子先輩のクラスの所来たんですけどねー、ちょうど絵里子先輩の休憩の時間に来ちゃったみたいで!写真もらいました!」
「最悪…委員長許さない…。」
「ん?呼んだ!?委員長呼んだ!?」
絶望的だった。違う学年にまであの写真が漏れているとは…どうせ他校とかにも流れてるんでしょ!?変な噂立てられちゃうなぁ…。
「これで絵里子さん、有名人決定ですっ!サイン練習しましょうよ!こんなのどうですか!?」
制服のポケットから筆ペンを取り出し、どこからともなく紙を出して筆を走らせる。
「いっ、いやいやっ!写真ごときで有名になれるなら今頃写真集出てるから!…て言うかうまっ!こんなかっこいいサイン書けない!」
「絵里子先輩がサインペン片手にファンの子達が持つ色紙にかっこよくサインしている所を想像して作ったんですよっ!今度練習しましょうっ!」
なぎちゃんの目の輝きはステージ上で輝くイケメンアイドルユニットを見つめるかの様なものだった。…万が一、天と地がひっくり返ってあたしが芸能人になったらなぎちゃんにプロデューサーやってもらおう。
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