世界一遠距離恋愛

「…そう言えば秋風先輩の入院騒動って本物ですか？」
急に耳元で囁かれて少しくすぐったかった。と言うのをなぎちゃんに言うのは恥ずかしいのでグッと堪える。
「ホントホント。急に具合悪くなっちゃったみたいで。」
「私の学年の女の子達大騒ぎでしたよっ！今日告白する予定の子もいたとかいなかったとか！」
「ひぇーっ…透くんモテるなぁ。」
やっぱり他の学年にも一種のビックニュースとして取り上げられているのだろう。そりゃそうだよね…今やこの学校は王子様不在の廃れた所と思っても良いんじゃないかな。
「秋風先輩がいない事によってこの学校の輝きは絵里子先輩にかかってますよね…。」
「なぎちゃん、自分の周りよく見てご覧？輝いている子なんてそこら中にいるよ？それより自分の顔鏡で見てご覧？すっごく輝いているよ！」
「はい…鏡で見ますね…こっ、この鏡！私じゃなくて世界一美しい女性を映し出している！まるで白雪姫じゃありませんかっ！」
「それ鏡じゃなくてあたしの写真！」
基本、あたしのあの問題の写真を持っている人は学年関係なくあたしをいじって来る事が判明した。これじゃあたし、学校のいじられキャラ担当になっちゃうじゃん…ってもうなってるか。
「…くれぐれも秋風先輩にはお大事にお伝えくださいっ！」
そう言ってペコっと頭を下げたなぎちゃんは颯爽と帰って行った。
「…ふふっ、私の持ってる鏡も世界一可愛い女の子を映してるみたいだよっ。」
「さくらちゃんは真似しないの！」