世界一遠距離恋愛
「…さてはどうして秋風が俺に話をしたのかって疑問に思っているな?」
「…ムカつく。あたしの考えてる事当てないでよ。」
「当てるに決まってるだろう?俺ら兄妹なんだぜ?」
わざわざ兄妹という言葉を強調して優越感に浸るお兄ちゃんは、あたしの目線に合わせてしゃがんで来た。…兄妹なのにお兄ちゃんは背が高くてあたしはチビ。たまに兄妹って認めたくなくなる。
「…あいつが俺に何て言ったか教えてやろう。」
そう言って急に前髪をいじり始めた。…いいから、透くんの前髪真似しなくていいから。
「…俺にもしもの事があったら、そん時は絵里子を支えてやってください。」
そう言って気持ち悪い程の笑みを見せて頭を撫でて来た。…透くんらしいっちゃ透くんらしい言葉にも聞こえた。
「聞いたぜー?あいつ死ぬんだって?」
「…場合によっては、ね。」
「…そうか。なんかおかしなもんだなぁ…あんなアホみたいな奴が病気なんて。」
お兄ちゃんは立ち上がってあくびをしながら頭を掻いた。
「絵里子が俺の事で泣いてたら、涙を拭ってやってください。体を震わせていたら、そっと抱き締めてやってください…って言ってたぜ?さぁ絵里子…泣いてもいいんだぞ?つーか今ちょっと体震えてね?抱き締めてやろうか?」
「うっさい!変態!」
自分がいない間にメンタルの弱いあたしを代わりに支える役割をお兄ちゃんに託すというのはいかにも透くんらしい行動だと思う。…これでもう少しお兄ちゃんが妹バカを脱してくれたらなぁ…。
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