世界一遠距離恋愛
…目が覚めるとあたしはベットの上でしっかりと布団が掛けられている。着替えたはずのない制服もパジャマに変わっていて、制服はハンガーに掛けられている。…昨日の記憶が全くないため、あたしが寝てからお兄ちゃんが全部やってくれたのだろう。
「…ごめん、絵里子。お兄ちゃん、絵里子の裸を見ようと思って脱がせたんじゃなくてだな。」
「顔を鼻血まみれにしながら言われたくないんだけど!?サイテー!」
…また新しい一日が始まった。まるで何事もなかったかの様に。…迎えたくない朝がやって来たのである。
「さてと…学校行く準備しなきゃー…。」
と伸びをした時、ふと携帯が鳴った。…花奏からだった。…正式に透くんが死んでしまった報告をくれるのだろうか。だけどある程度覚悟は出来ていたので、報告をするのが辛いであろう花奏の事を考え、あたしは優しく電話に出てあげようと思った。
「…もしもし。」
携帯の向こうからは声が聞こえない。…そっか、言うの辛いもんね。あたし、バカだけどそのくらい察してあげられるよ。言ってあげなきゃ、お疲れ様、よく頑張って最期まで傍にいてあげたね、って。…さて、言おう。そう決意した時だった。

「おはよう、絵里子。」
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