世界一遠距離恋愛

「嫌に決まってんだろこんなの着けるの！だりぃし邪魔なんだよ！」
「そう言って具合悪化して死んだらどうすんだよこのバカ！」
「いてぇぇぇっ！病人蹴るのか！？お前何て事してくれやがる！」
…どうしよう。看護師さん皆困ってるよ。あたしどうすればいいんだろう。
「相変わらず元気そうですね…秋風くんと白橋さん。」
看護師さんの一人がそう言って笑う。…この人、透の担当の人なのかな？
「すいません…あたしが謝ってどうにかなる事ではないんですけど…。」
「いえいえ、良いんですよ。各病室は防音ですし、廊下が少し賑やかになるだけです。」
優しい看護師さんだなぁ…普通すごく頑固で怖い人が多いのに。
「ところで…貴女は秋風くんの娘さんと本人から聞いたんだけど…。」
「えっ！？なっ、何言ってるんですか！嘘に決まってるじゃないですか！」
あのバカ！何を変な嘘話してるの！？あたしも今すぐ病室に乗り込みたいぐらいだよ…。
「大丈夫ですよ。嘘だって事は最初から分かってましたから…ただ彼があまりに嬉しそうに語るもので…もしかして彼女さん？」
「あっ…はい、そうです…。」
彼女、という響きに思わず胸が高鳴る。あたし、透の彼女なんだなぁ…。