世界一遠距離恋愛

「世界一遠距離恋愛だなんて…絵理子にしてはなかなか面白い事言うじゃないっ。」
「だってー…他に良い言葉が思いつかなかったんだもん。」
「あんな事、恥ずかしげもなく言っちゃうなんて…絵理子もあいつの影響でちょっぴり大胆になっちゃったかな？」
「ちっ、違うよっ！うるさいなぁっ！」
透が火葬されている間、あたしと花奏は外で待つ事にした。火葬を終えた骨になった透は…花奏本人が見たくない、あたしにも見せたくないと言うのであたし達は収骨をしない事にした。確かに透が骨になった所を想像すると…いや、想像なんて出来ない。
「…あっ、そう言えばさ、絵理子に渡したい物があったの。」
「えっ…これって…。」
花奏から渡されたのは二つに畳まれた紙。どういうわけか、鈍感なあたしはそれが透の書いた遺書だとすぐに察する事が出来た。
「いつからこんな物用意してたのかしらね…ある程度早い段階から死を覚悟してたのかしら。」
花奏はそう言うと優しく微笑み、読んで？と催促してくる。きっとこうしてあたしの横にピッタリとくっついて座っているのは…いざあたしがこれを読んだ時にどんな事が起きてもいい様にしていてくれるのだろう。…透が最期、あたしにどのような気持ちを抱いていたのか。ここに全てが書かれている。あたしはゆっくり紙を開いた。