世界一遠距離恋愛

「でもまっ！今まで通り普通に接してくれよ！この話をした事は皆には内緒。これ知ってるのこの学校で絵里子ちゃんと花奏しかいないからさ。」
あんな話をした後だって言うのに、秋風くんは相変わらず笑っていた。でも…その時の笑顔は例の作り笑いだった。
「…分かった。内緒にする。」
「ははっ、いい子。」
「ちょっ！頭撫でないでよ！恥ずかしいじゃん！」
「んー？誰も見てないんだし頭撫でるだけだからいいじゃん？本当だったら今すぐにでも抱き着きたいくらいなんだけど？」
「何言ってんの！？バカなの！？」
空はすっかり茜色に染まり、屋上にはあたしと秋風くんの声が響いた。
…あたしの事を好きだという嬉しい告白と、自分は死ぬかもしれないという悲しい告白。あたしの心は二つの告白に複雑に絡め取られた。
そんなあたしはもうすぐ高校三年生。新しい春が始まろうとしていた。