世界一遠距離恋愛
「絵里子!待ったか!?」
あたしが玄関に着いてから十分くらい。部活を終えた透くんが走って玄関に来た。
「ううん、全然待ってない。」
「そうかぁ?もう待ちくたびれたよって顔してんぞ?」
「しっ、してないもんっ!」
「強がる必要ないだろ。んじゃ、帰ろうか。」
透くんは自分の下駄箱からクツ…ではなく手紙を取り出した。可愛い封筒はこれまた可愛いシールで止められている。
「…今日は一年生かぁ。」
「なになに、ラブレター!?やだ透くん、モテモテなんだからーっ!」
「いやいや、絵里子だってよくもらうんだろ?絵里子の方がモテるじゃん。」
なんて笑いながら手紙を取り出し、サーッと眺めてすぐしまった。
「…返事は?」
「返さない返さない。俺いつもそうだから。」
「えーっ!可哀想に…。」
「どうせなら直接来いって事だよ。ま、直接来ても断るだけなんだけどさ。…よし、帰ろうぜ。」
透くんが玄関を出て歩いて行くのに、あたしは小走りで着いて行く。
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