初恋は涙色に輝く…
「で、陽菜は最近どう?3年生の夏なんて、もう受験だろ。志望校決まってんの?」
痛いところを突かれた私は、ずっとかき混ぜていたアイスコーヒーを少し飲む。
『……決まってません。』
私の言葉に隆太さんは目を見開いて、分かりやすく驚いた。
「は?まじか。光瑠たちは決まってんの?」
『はい、光瑠はバスケ続けたいって言って県外の大学の推薦狙ってて。瑞穂は、夢があるから…その夢を追いかけて、県内で最も学科が多い短大に。』
「へー。すげぇな。」
隆太さんは、感心したように頷き、背もたれに体重をかけた。
「…でもまぁ、俺も去年のこの時期決めてなくって焦らされてたからな。雰囲気に呑まれて決めるんじゃなくて、ちゃんと自分で決めろよ。」
私は、おもわず隆太さんを見つめる。
…初めてだ。周りはみんな、早く決めろって焦らせるだけなのに。
隆太さんの言葉で、進路選択で張り詰めていた心が少し楽になった。