無理して笑うな

〈唯said〉


信じられない。



どうして悠斗がお兄ちゃんの店に?



あたしは息が切れて足を止めた。



気づけば蓮はいない。



あたしは歩き出した。




周りがこっちを見ているような気がしたが今はそれどころじゃないや。




「ほら、やっぱり追いかけて来ない。」




それでいい。



悠斗があたしのことをどうとも思ってないことなんて前から知っていたはずだ。



なのになんで、こんな悲しいんだろう。



どこかで期待していた。



追いかけて来て、6年前のことを謝ってくれることを期待していた。



ため息をつくと、自然に笑えた。




「謝って来たところで許さないくせに。」




うん、そんな簡単に許せない。



たかが
ブスって言われたくらいで



そう思われようが許せないものは許せない





「笑わなくちゃ!じゃないとこの世界ではやってけないよ」



悠斗があたしのことをブスって言ったのは、あたしにとっては良かったのかもしれない



デビューしてからファンが増えるに連れて、BlueSkyのことを快く思っていない同期のアイドルや世間の声ももちろん増えてくる。



でも



ブスって言われても、調子に乗るなって言われても、消えろって言われても



悠斗に言われた時ほど辛い言葉はなかった



悠斗の言葉のおかげであたしはここまでやって来れたのかもしれない




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