無理して笑うな
後から考えると、俺はいつの間にか電話を切っていることにも気づかなかった。
楽屋に入ると寝ていたはずの唯が倒れていて携帯が落ちてしまっている。
「唯!」
「リーダー!」
「唯ちゃん!」
俺達は唯に駆け寄ると揺すったが唯は気を失っている。
生放送中ずっと我慢していたのだろう
携帯を拾って見ると、着信やメールがたくさん入っている。
きっとすべて悠斗からのものだろう
唯が電話に出た後倒れたのだと悟った俺は携帯を机の上に置いた。
それから心配そうだった悠斗に電話をかける
『蓮!?唯は…!』
「気を失ってたみたい。熱があって、生放送は抜けられないからって本人が言い張ってたんだ。
気づいてくれてありがとう。」
悠斗は心底安心したような声で『良かった…』と言った。
『生放送見ててなんか違和感感じてさ、それで電話したら何回目かでやっと出てくれて…』
やっぱり、と思うと俺はもう一度お礼を言って電話を切った。
「誰なの?」
亜依の不思議そうな顔を見て「流星の親友」と答える。
流星と聞いて亜依の表情が少し変わる。
「…悠斗君ね。友達だったの??」
「いや、昨日撮影抜けたときにたまたま会ったんだ。
唯の幼馴染みだったみたいで。」
「「「幼馴染み!?」」」
3人の声がハモった。
「お、幼馴染みって…唯ちゃんのことブスって言ったっていう…」
「そうそう。」
「うそ!それどんな偶然よ!」
亜依はあわあわと慌て、達也と斗真はボケッと口をあけている。
「そんなこと俺に言われても…」
俺だって始めは驚いたんだから