無理して笑うな
同じ世界へ
〈唯said〉
「え?」
栗田さんの前で大きな声をあげてしまった。
栗田さんは『BlueSkyマネージャー』と書かれた名札を左手でいじりながら驚いてあたしを見ている。
「そんなに驚くこと?唯。恋愛もののドラマ、経験あるでしょう?」
「いや、ありますけど…デビューしてすぐの話じゃないですか。
しかもあれは脇役で…」
「だから!今回は主役よ。本当はオーディションになるはずの役を向こうから直々に連絡してきたの。
これは、チャンス!」
栗田さんがデスクの前でぐっ!と拳を握る。
あたしは口が自然に開くのが止められなかった。
「う、うそ〜」
「本当よ〜♪
ねえ、お相手誰だと思う?」
あたしは分かるわけもなく、首をかしげるしかない。
「誰ですか?」
「なんと!あの宮森 拓真君よ!
こちらも撮影側から直々にお願いしたらしいわ。
あちらの事務所とも連絡とったし、あとは現場に行って顔合わせね。」