無理して笑うな

ミナはあたしにピースして見せる。




「ドラマの撮影よ!唯ちゃんと共演だなんて、なんて嬉しいんでしょ♪」




あたしは驚いてミナを見た。




「共演!?ってことは、これ?」




あたしは手に持っていたさっきの台本に目を落とした。



ミナは笑顔で頷く。




「私、美玲役よ。唯ちゃんの敵!」




「あらまぁ。ミナと敵だなんてドラマの中でも嫌だなぁ…」




「そんなわがまま言わないの!主役を務めれるだけ嬉しく思わないと。」




するとミナは急にうっとりしたような表情になった。




「それにお相手はあの宮森 拓真!唯ちゃん、なんて贅沢なのよ…」




「だってキスシーンあるんだよ?まー振りだけでいいんだろうけど、ちょっと気が重いや。」




「それも糧にしないと!」




ミナは相変わらず笑顔で言った。




「あ、じゃあ私はこっちだから。また明日ね〜」




ミナはアメリカの高校に留学中だから日本に帰ってきている間は実家で暮らしている。



あたしは手を振ってミナと別れると、同じ制服が増えてきた道を眺めながらため息をついた。



恋愛ドラマなんて本当に久しぶり。



デビューしてすぐに出さしてもらった恋愛ドラマはヒロインの妹役だった。




「まあ、受けちゃったし今更遅いか。」




そうだ。



何を言われても1度受けた仕事はやり遂げたい。



あたしは台本を鞄にしまうとまた学校に向けて歩き出した。





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