無理して笑うな
「俺には分からないけど、嵯峨山 唯はお前と関わりたくないんじゃないか?」
「やっぱりそう思うか?」
少し弱気になった俺を見て流星は目を丸くした。
「お前がそんな悲しそうな顔をするなんて久しぶりに見たな。いつもクールでツンってしてて何考えてるか分かんねーのに。」
流星は椅子に座り直した。
「で?お前のことだから、このまま放っておく気はさらさらねえんだろ?」
「もちろん。」
俺はすぐに頷く。
「だからお前に話そうと思ったんだ。」
「うん。なんだよ。」
流星は真面目に話を聞いてくれている。
今なら、流星なら
家族にも話さなかったこの気持ちを話せるかもしれない
俺はこのとき、なんかそう思ったんだ
「俺さ、芸能界に入りたい。」
部室に、俺の声がやけに響いて消えた。