無理して笑うな
「そっか。」
流星は呟き、うん、と頷くと笑顔になって顔を上げた。
「いいじゃねえか!いやぁ、お前が初めてバスケ以外の何かに興味持った気がするわ!」
確かに
流星の言うとおり、俺には少し冷めたところがあったかもしれない。
受験して私立の中学に入ってから、気が抜けたように
俺はバスケ以外の何にも興味を持ってなかったと思う。
唯がもし引越していなければ
俺は受験してはいなかったんだろうなと
きっと唯と同じ学校に行くことを無意識の内に望んだんだろうと
そんなことばかり考えていた。
唯がデビューしてテレビに出だす前から、俺の中で唯は遠い存在だった。
また会いたい。
高等部に上がってもそればっかり考えて
もし唯がここにいたら。唯ならこんなときこうしただろう…と。
唯が変わろうとしているときも、ただ過去を引きずっていた。
それが俺を無気力にしていたのかもしれないと思ったとき
唯がいるから、芸能界に入ってみたいと思ったとき
「俺って、小学生の時からよほど唯に惚れてんのな。」
心からそう思った。
最初はただ喧嘩別れになってしまったことを後悔しているだけだと思っていたが
ここまで誰かを想うことはこの先もう2度とないかもしれないと思うほど俺は唯に夢中だったんだ。