無理して笑うな
「そうと決まればいろいろしなきゃだな。
んー、俺が事務所選んだのは雑誌を見てだったけど、お前なんかある?」
俺は首を振った。
「まったく。決心しただけ。」
「はは、だろーなぁ。分かった!俺もいろいろ探してやるよ。
なんなら俺の事務所に来るか?あ、でも蓮達に声かけて少しでもRedStarsに近い方がいいか…」
自分のことのように考えている流星に、俺は笑ってしまった。
「お前、めっちゃ必死。」
「当たり前だろ!お前はモデルにでもなんなきゃもったいなさすぎなんだよ。」
流星が笑ったのを見て、俺もよりいっそう笑った。
「あーあ。嵯峨山 唯に会えて、仲直りできたとしてその後はどうすんの?」
「それはそのとき考えるよ。まあ、まだまだ先の話だろうしなぁ。」
「まあな。でもお前は本当にいい線いくんじゃないか?俺が抜かれちまいそうで怖いよ。」
「それはねーよ。お前の努力は尋常じゃないの俺知ってるもん。」
そう。流星は一度決めたことは絶対に成し遂げる。
部活と勉強とモデルを全部やってみせる。
そう俺に宣言してから、流星は一度も弱音を吐いたことがないと思う。
「勉強以外は好きでやってることだからさ、ぜってー辞めたくねえんだわ。」
流星はいつでもそう言って笑う。
そりゃあ少しはチャラく見えるかもしれないが、こいつは俺の最高の親友だ。
「じゃ、お前は今日から俺のライバルだな!」
流星はニカッと笑った。
「改めて、よろしく。中村 悠斗。」