真面目くんの憂鬱
こ…怖い……
ちょっとうるうるしていると…
「ん。」
「ふぇ?」
私の目の前に出されたのは日向くんの右手
「ん。」
「???」
訳がわからずにいると…
「さっきのお詫びに今日1日手ぇ繋げ」
「え…えぇ?!」
「はぁ~…誰かさんのせいでいろんな人に疑いの目むけられ……」
うわああああ
やっぱり怒ってる!!
「あ…ああああの!!繋ぎます!!繋ぎます!!」
そう言って私は日向くんの右手を握った
「ん。それでいい」
チラッとみた日向くんの横顔はちょっと満足そうだった
「じゃあ行きましょう」
「うん!!」
お祭りに向かって歩いていくと…
「お?あれって……日向じゃね?」
「どれどれ…あ!!マジじゃん!!おーい日向ー!!」
どうしよ!!
クラスメートの二人が(男)こっちに向かってやってくる…
これってばれたらダメじゃん!
どうしよ…
あ!!今日お化粧してるし!!髪型違うし!!よし!!他人のふりだ!!
「よぉ日向!!」
「こんなところで会うなんて奇遇ですね」
やっぱり真面目くんだ…
「そっか~あの日向でも祭りとかってくるんだな~」
「まああんまり興味なかったですけど…」
「てか……そこにいる可愛いこって誰?!」
うお!!ばれる!!隠せ美玲!!
「え……えっとですね……」
「白崎…麗美(シロサキレイミ)です!」
「ん?彼女?」
「え…あ…いや…いとこの麗美…」
「初めまして!!よろしくお願いします♪」
このまま行けば大丈夫なはず!!
「麗美ちゃんか~可愛いじゃん!!」
え?!可愛いって…ちょっと…解放してください!
「よかったらこれから…」
「それはおかしいんじゃないですか?」
「日向くん…!!」
「ま…まぁそうだよな…ごめんな!!麗美ちゃん!!また会えたらってことで!!メアド交換ね!!」
スルッと私のばっくからケータイが盗まれて…
「あ…」
「登録完了~よろしくー麗美ちゃん!!じゃあね!!」
「あ…はい…さようなら……」
二人が見えなくなった頃…
「ねぇ日向くん…」
「…」
「ねぇねぇ」
「…」
「ねぇってばー」
「煩いですよ。黙っててください。」
「え……」
「なんなんだよホントに…どっか行ってろよ…」
ズキッ…
胸が痛くなる
私…日向くんに悪いことしちゃったかな…
そしたら謝りたいな…
「あのっ!!」
「うるせーよ……どっか行けよ!!」
「っ……うっ……ひっく……うぅ……」
涙が止まらない
まだお祭りにも行ってないのに…
もっと楽しみたかったな
「!!……ごめ…」
「もう日向くんなんて知らない!!」
「待て!!ごめん!!」
日向くんなんて知らないんだから!!
私はずんずん歩いていった