初恋相手はゲイでした。
「……え? あ、きゃあああ」
二階堂先輩が放心中の間、私は二階堂先輩にされたことを理解してしまい、咄嗟に距離を置いて前髪を元通りに直した。
あの"すきあり"と言われた瞬間、私の前髪は二階堂先輩の手によって上にあげられ、顔面を晒してしまったのだ。
ああなんてことを、なんてことを……
私の悲惨な顔面を見た為に二階堂先輩は固まってしまっている。
「二階堂先輩ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」
私が何度も頭を下げて謝ると、二階堂先輩もはっと我に返り、再び私を見つめる。
「こ……このみちゃん、きみ……」
「なにしてんの? こんな道中で」
二階堂先輩がなにかを言おうとしたのを遮るように、私ではないもうひとつの声が背後から聞こえた。