初恋相手はゲイでした。
私は今日、長かった後ろの髪も前髪も、バッサリと短く切ってきた。
髪も染めてないし、短くと言ってもボブなんだけれど。
前髪は重めのぱっつんにして貰った。
真広とは言うと……固まっている。
「おーい。固まってないで感想を教えてくれ」
私が再び声を掛けると真広はハッと我に戻ったかと思ったら、次の瞬間に走って来て私の手を掴んだ。
「え!? ちょ、真広」
真広は無言のまま、戸惑う私を自分の家に引っ張って行く。
玄関に入ってすぐ、私のからだが意図的に倒され、フローリングの廊下に背中をつく。
そして、私の頭の両サイドに真広の手が見える。
なんと言うか、壁ドンではなく床ドン状態。
「ま──っ」
"真広"、と名前を呼ぼうとしたのだが、あまりにも真広の顔が近くて声を出せなかった。