人魚の入江
花沢 良平


キーンコーンカーンコーン...




ガラガラっと扉を開けて入って来たのは新任の先生。




「おはようございます。今日からこの2年3組の担任をすることになりました。」



カッカッとチョークを鳴らして
先生は名前を書いた。



「私は神埼 茂と言います。2年生は進路決定前の大事な時期。みんなで気を引き締めながらも楽しく過ごしていこうな!」




「ハーイ!!」
とクラスのお調子者がおどけた返事をする。

ドッとみんなが笑った。




「ここでもうひとつ!みんなには今日から新しい仲間が増えます。さ、入ってきて!」


ガラガラっと扉が開いて
転校生がやって来た。


短く刈った髪、
中性的な顔立ち
つり目だからか、少しキツい印象。
スレンダーで身長も高い....


ざわざわ...と話し声が飛び交う。

「まずは自己紹介からな。」

転校生は頷くと言った。


「花沢良平です。東京から越してきて分からないことが多いのでみんなにいろいろと教えてもらえたらなーと思っています。よろしくお願いします。」




「じゃあ、良平君には、あの席に座ってもらおうかな。」





はい、と彼は返事をすると指定された席に着いた。




無口な"風"が言うから、どんな人かと思ったのだけど。




キーンコーンカーンコーン...

「よし、ここまで!次の時間はHR長を決めるから、心の準備をしておけよー」




みんなが立ち上がって、
転校生の席に集まる。



転校生は、やっぱり人気者だなぁ。
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