ツンデレツン

一瞬教室が静まり返った。


前を向くと、皆呆気にとられたように
キョトンとしている。




「えーっと、高波中出身の神田 沙希です」

「あれ、無視？俺のこと無視？」




これ以上余計なことを言われないうちに
さっさと自己紹介を済ませてしまおう。


私は先生を皆の面前で堂々と
無視した後、さっきまでの会話は
なかったかのように振る舞った。




「これから宜しくお願いします」




仕舞いに先生を睨みつけた後
自分の席へ戻っていく。


席に着いた後、皆の視線を感じたのは
きっと気のせい。


先生は苦笑いするでもなく
怒鳴るでもなく、
次の自己紹介の番の人の名前を呼んでいた。



（危なかったぁ）