Story~あたしとあいつの物語~


―帰り道



赤くなった手を公園の蛇口で洗う。


赤色の水が流れていく。


口元についた血もちゃんと流す。


今日もあざ、残ったな…。


明日はどう言い訳しよう。


帰り道はいつも1人。


あざを作った理由など言い訳を考えながらぼーっとして帰る。


もう夜の9時。


また怒られるだろうな…。




そして家の前に立つ。


―ガチャ


「綾那ちゃん!心配したのよ!いつもいつもこんな遅くまでどこ行ってるの!?」


あー、うぜー。


「はいはい。すみません。明日はちゃんと帰って来ますって」


「綾那ちゃん、こういう時はちゃんと連絡して?おばさん心配するから」


なんだよ…。


「あたしの親でもないくせに!あたしの何が分かるんだよ!」


そうこの人は施設のおばさん。


あたしは小2の時父親を亡くした。


母親はあたしを産んだときにはもう亡くなってたらしい。


元々体の弱い人だったから産むのは難しいと言われてた。


だけどあたしを産むって決意してくれた。


死ぬ覚悟をして、あたしを産んでくれた。


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