Story~あたしとあいつの物語~
―ガラガラ
「あっ!綾那おはよー!」
「あっ由利(ゆり)ちゃん!おはよー」
この子はあたしの友達、重中(しげなか)由利ちゃん。
この由利ちゃんでさえ、あたしが喧嘩してる事は知らない。
本当は教えたい。
だけど教えたらきっと、あたしからどんどん離れて行くと思った。
怖くて…。
「綾那ー。また顔にあざつけてー!どうしたの?また転んだの?」
「う、うん。昨日さー施設の階段からおこっちてさー。もーほんとに痛かった」
ごめん。由利ちゃん…。
「そりぁー大変だったね。本当におっちょこちょいだよね。綾那は」
由利ちゃんは笑ってた。
でもなんとなく気づいてそうで、怖い。
「ねぇ由利ちゃん…」
「ん?どうしたの?」
由利ちゃんは本当のあたしを知っているのか知りたくなった。
「あのさー。あたしが…」
言葉が止まってしまう。
「綾那がどうしたの?」
由利ちゃんは笑顔で言った。
どうしよう。
「あたしがさー、そのー…」
―キーンコーンカーンコーン
「ほらみんな席に座れ!」
「げっ、担任来た。また後で話ししよ」
「うっ、うん」