あんたの心、全力奪取。


「ね、ねぇ、どこ行くのよ!」

「……」

15分間ずっとこんな感じ。

私が足を止めると彼は振り返って手首を

掴んだ。

「悪いようにはしない。」

そう言って、歩き出した。

手を掴んだまま……。


ーーーーー
「着いた。」

そこはペットショップの前。

「ぇ?」

「俺、あの捨て猫飼う事にした。」

私は少し驚いた。

「猫好きなの?」

「嫌、飼いたい気分だったから。」

ど、どんな気分だ!!

少し疑問に思っていると、

「首輪……あの猫に似合うやつ選んでやろうと思ったんだが、どれにすればいいか……」

少しションとした顔に不意をつかれた。

……智癒もそんな表情するんだね。

「……ぉい、」

「あ、ごめん。」

「これ、どう思うか?」

智癒はブルーの首輪を私に見せる。

「嫌、嫌、キジトラにはピンク!」

「…そうか」

そうして、ピンクと赤のストライプ柄の

首輪を飼う事になった。

智癒が近くにあるコンビニでジュースを

買ってきてくれた。









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