カノナビ

坂上 圭介

………ピンポン♪ピンポン♪ピンポン♪…

静寂だった部屋から携帯のアラーム音が鳴り響き、それは朝であることを懸命に告げていた。

『zzz…ん…』

男は眠たい目を擦りながら携帯に手を伸ばし馴れた手つきで操作する。

ピンポン♪ピン……

男は携帯のアラームを止め洗面台に向かった。

キュ…ジャー!

『ん…』

ノブを捻ると冷たい水が蛇口から出てきた
男が両手で水を掬うとその冷たさに思わず声を洩らした。

『よし…』

バシャバシャバシャ

男は気合いを入れると掬った水を顔に当てた、その瞬間、寝ぼけていた脳や身体が、目覚めて行くような感覚だった。

『ふー…』

男は慣れた様子でその後もテキパキと行動しスーツに着替え部屋を後にした。

バタン…