鈴に恋して
わざわざ苦労してまで通う気になった理由はただ一つ。常陸の部活動だ。

奏は3歳から様々なダンスを習っている。ヒップホップにジャズダンス、バレエ……どれも運動好きの奏にとっては楽しくてしょうがないものだった。
中学のときは活動の少ない茶道部に所属し、時間はダンス教室での練習に費やした。奏にとって1日5時間の練習は当たり前。それほどダンスすることが好きだった。

そんなとき…ダンス教室の先生の知り合いが審査員をしているという、「ダンスドリル高校全国大会」を見に行く機会があった。
ダンス教室の仲間とパンフレットに目を通していると…なんと!自分の県から出場している学校があったのだ。あんな田舎の、しかも公立高校がここまで勝ち上がってこれるモノなのか…?

さほど期待していなかった常陸ヶ丘高校の演技が始まった。
常陸ヶ丘は全員で20名ほどの、バトンを使ったチーム。
豊かな表情とコミカルな演技で、瞬く間にホールをわき上がらせた。奏自身、演技中ずっと目を奪われていた。

すごい、私の地元…なかなかやるじゃん!

結果は堂々の2位。
上位入賞が頷ける演技だった。










このときに奏は決めたのだった。
「常陸ヶ丘高校」に入学しようということを。
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