あかいもの。
「先に行くよ。」
そう言って靴箱へ駆けていった我等がお姫様、波瑠。
「あいつ、隠してるな。」
波瑠の後ろ姿を見ながら、言ったのは明希。
「きっとそうだよな。」
俺たち五人、高校は同じだが、中学校はバラバラだった。
本当なら高校もバラバラの予定だったんだが、訳あってみんな同じとこに行くことになり、あの家に住んでいる。
「波瑠、辛そうにうなされてた。
なんだか、誰かを追いかけているみたいな。」
奈津が少し下を向く。
なんだかんだで、奈津も心配なんだな。
「俺らは波瑠を守ってやればいい。」
きっとあの人が何を思って、俺たちが固まる事を許可したのかは分からないけど。
「きっと、そう言う事だ。」
波瑠は守られてばっかは嫌だろうけどな。