あかいもの。
「お前らはいっつもそうやって!
無茶ばっかりするからいつも怪我するんだろうが!」
「「はい、すみません。」」
「全くいつもいつも、店長さんに謝ったのは大地なんだぞ?
そのくせ、自分たちはまだ鬼ごっこ続けてやがって。」
「だって、それは明希が追いかけてくるからで、」
「なんだお前、俺のせいにする気か?
いい度胸じゃねぇか。」
「言い合いは終わり!
分かったか?今度から絶対こういう事おこすなよ?いいなっ?」
「「はぁ〜い。」」
あれからスーパーに行って帰ってきて。
あたしと明希は冬也にお説教をくらっていた。
「だいたいなんでお前、なんでカゴに突進するんだよ。前が見えなかったのかよ。」
「いや、これは仕方が無いって!
後ろをむいた隙に目の前にドンガラガッシャーンだもの。」
あの後自動ドアに歓迎されたあたしは、全力スピードを保ったままスーパーへ突入した。
明希がまだ追いかけてくるのかと後ろを向いた瞬間、店員さんが運んできた籠の山に追突し、
「いっててぇ。絶対にこれたんこぶ出来たよね。」
今の状況に至るのだ。
むろん、スーパーの店員にはきちんと謝り、その後さっさと買い物を済ませ、逃げるように帰ってきたのは言うまでもない。
「波瑠、明希、唐揚げ作るから手伝って。」
キッチンから奈津が叫ぶ。
奈津の隣には、ちゃっかしエプロンを着た大地が立っていて何か手伝っている様だ。
「わかったー。」
「仕方ねーな。」
あたしと明希は揃ってキッチンへと向かう。
それを見て笑う冬也の顔はとても穏やかだった。