あかいもの。






「波瑠。宮田波瑠。起きなさい。」







眠たい。とても眠たい。






「宮田波瑠っ!」






さっきからあたしの名前を叫んでいる人がいる。




聞き覚えの無い声。






「宮田波瑠っ!」



「あーうるさいっ!」





今までを上回る声の大きさであたしを呼ぶ声。



それに反応してあたしは飛び起きた。






「授業中に寝るなんて、だめでしょ?」







目の前にいらっしゃったのは、我がクラスの担任を受け持つ、月子先生。




あたし、また寝ちゃったんだ。






入学式から早一ヶ月。






あの日から時々あの嫌な夢を見るようになった。



思い出すのも嫌なあの日のこと。






その夢を見る度、夜中に目が覚め、寝不足が続く……という悪循環が続いている。






「疲れているなら、保健室行ってもいいけど……。」






疲れているだなんてとんでもない。



ただ、寝不足なだけだ。





あれ?寝不足って疲れてるっていうのかな?

あれ、どうなんだろう…。




「はい、宮田波瑠。

何考えてるのか知らないけど、元気そうなのでよかったです。

教科書、開きなさい。」




「あ、はい。」





なんだかあたし馬鹿丸出しじゃね?

< 17 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop