あかいもの。
「波瑠。宮田波瑠。起きなさい。」
眠たい。とても眠たい。
「宮田波瑠っ!」
さっきからあたしの名前を叫んでいる人がいる。
聞き覚えの無い声。
「宮田波瑠っ!」
「あーうるさいっ!」
今までを上回る声の大きさであたしを呼ぶ声。
それに反応してあたしは飛び起きた。
「授業中に寝るなんて、だめでしょ?」
目の前にいらっしゃったのは、我がクラスの担任を受け持つ、月子先生。
あたし、また寝ちゃったんだ。
入学式から早一ヶ月。
あの日から時々あの嫌な夢を見るようになった。
思い出すのも嫌なあの日のこと。
その夢を見る度、夜中に目が覚め、寝不足が続く……という悪循環が続いている。
「疲れているなら、保健室行ってもいいけど……。」
疲れているだなんてとんでもない。
ただ、寝不足なだけだ。
あれ?寝不足って疲れてるっていうのかな?
あれ、どうなんだろう…。
「はい、宮田波瑠。
何考えてるのか知らないけど、元気そうなのでよかったです。
教科書、開きなさい。」
「あ、はい。」
なんだかあたし馬鹿丸出しじゃね?