あかいもの。
日本の季節の、春、夏、秋、冬。
そして、その全体を守る大きな大地。
あたしたちの名前が揃っているのは偶然じゃない。
あたしたちはみんな、施設で育ってきた。
名前もない赤ん坊の頃、施設の人々に付けられた名前。
みんなで寄り添い、素晴らしい日本の四季に負けない人間になってほしい。
そういう願いが込められているそうだ。
小学校三年生のとき施設の取り壊しが決まり、あたしたちは離れ離れになりそれぞれの家族に引き取られた。
「なっちゃんあのね、僕算数のテスト一番だったの!」
「なっちゃん。ぼくかけっこいちばん!」
その奈津の引き取り先の家族が、響くんと理人くんだ。