あかいもの。
「ひびきー。りひとー。
お母さんが迎えに来るってさ。だから帰る支度・・・て、明希と仲良くなったの?」
廊下で電話をしていた奈津が戻ってきた。
明希に抱きかかえられている二人を見て、びっくりしている。
「よかったな。」
大地も冬也も穏やかな顔をしている。
この二人が親に黙ってまで奈津に会いたいと思うんだから、奈津はきっといいお姉ちゃんだったに違いない。
こんなに歳の違う兄弟でも、奈津にとっては血のつながりなんて関係のない、本物の家族なんだろうな。
ーーーピンポーン。
インターホンが響いた。
「ママだっ!」
理人くんが玄関に走って行った。
なんだかんだで、ママが居なくても寂しいんだね。
「奈津ちゃん。ごめんねー。」
玄関から奈津のお母さんの声がする。
「俺たちも行こう。」
あたし、冬也、大地そして明希は奈津の後を追って、玄関へ行く。
二人のお見送りのために。