あかいもの。
「本当にご迷惑をおかけしました。」
門の前で深々と頭をさげる奈津たちのお母さん。
明るめの茶色の髪の毛にふんわりとした印象を抱く。
「いえ、また来てください。」
冬也の言葉に、お母さんは綺麗に笑う。
「奈津ちゃん。たまには帰ってらっしゃいね?待ってるから。」
「ありがとうお母さん。二人をよろしくね。」
そう言って奈津とお母さんは抱き合う。
血のつながりなんてなくても、この家族は本物だと。
誰が見てもそう思う。
奈津の引き取り先が、この家でよかった。
あたしは切実にそう思った。
「じゃあな、クソガキ。」
「ばいばい、明希!」
「ばいばい、あき。」
明希も二人とお別れをして、二人を乗せた車は帰って行った。