あかいもの。
奈津の弟二人があたしたちの家に来てから、二ヶ月ほどが経つ。
校庭で綺麗に咲いていた桜は散り、緑色の葉っぱが茂っている。
「あちーなーまったく。」
そろそろ初夏だ。
「この時期になると、プリンが美味しく感じるんだよね。」
お昼休み。
あたしたちは定番の屋上で昼ごはんを食べていた。
「こんな暑いのによく部活とかやってられるわよね。ほんとに。」
あたしたちは基本的に面倒くさがりの集まりだから、部活とかもってのほか。
やってられる訳がない。
「そういやーさ。冬也ってサッカーやってよなぁ?」
「ん? あぁ。ていっても中学の時だけだけどな。」
「いやいや、俺聞いたことあるぜ? 北中の月島ってやつがめちゃサッカー上手いっての。」
ふーんそうなんだ。
冬也はサッカー部でそれなりに上手かったらしい。
あたしたち五人は、中学校は全くのバラバラだったから、中学時代のお互いのことはあまり話さない。
「冬也って結構器用だよねー。」
あたしはそう言いながら冬也の腹をつつく。
「おわ、やめろって。 別に器用じゃねぇよ。」
褒められて嬉しいのか、冬也は顔を真っ赤にして頭をかく。