あかいもの。



「結局一年生副会長は決まらず仕舞いか〜。」



就任式の後の、生徒会室。


今日からここがあたしたちの溜まり場になる。



「ったく。一年が来てくれねぇと困る。だいたいなんで俺が下っ端の庶務なんか・・・。」



会長以外の席はじゃんけんで決まった。

だから、じゃんけんで負けに負けた明希は庶務になったけど、どうやらご不満の様子。



「いいじゃない。 面倒な仕事もないし。」

「そういう問題じゃねぇんだよ。俺は立場の話をしてんだよ。」

「なおさらちょうどいいじゃないの。庶務。」

「てんめぇ・・。バカにしやがって。」

「お前ら。こんな所で喧嘩しないでくれ。だいたい庶務もバカにできないんだぞ。頼むからおとなしくしてくれ。」


明希をおちょくる奈津とそれを止める冬也。



どうも家と変わりがない。



「それにしても、まぁ良かった。」

「あん?何がだよ。」


・・・明希は相当ご立腹の様だ。



「まぁ無事にトップ宣言して、今ん所突っかかって来そうな一年も居ないし大丈夫よね?」

「まぁ、そうだな。」


なんだか、ひと段落ついた感じだ。




「よろしくね、生徒会長。」


「・・その呼び方止めろ。」



照れる会長をよそに、あたしはとても安心していた。



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