愛された先パイ
3
俺らは、家への方向が同じで、一緒に帰った。
「先パイの家ってどこですか?」
言ってから、ヒヨコちゃんは急いで俯いた。
「ごめんなさいいきなり変なこと言ってしまって。
ず、ずうずうしいですよね?」
「ん?構わないよ。
俺の家は、ここから数分もかからないかな」
「そうなんですか!」
「ヒヨコちゃんの家は?」
「私もここから近いです」
「ヒヨコちゃん、独り暮らし?」
「いえ、家族と暮らしています。
でも、両親も姉も、仕事が忙しいので、独り暮らしみたいなものです」
「そうなんだ。寂しくない?」
「いえ・・・慣れましたね」
「そっか・・・」
慣れることは良いけど、悪い。
って、誰かが言っていたな・・・。
俺の家が見えてきたころ、俺の家の前で何やら作業をする女性を見かけた。
あの人は・・・。
「母さん?」
「あら、リクじゃない。
お帰りなさい」
母さんはヒヨコちゃんに気が付いて、顔をほころばせた。