愛された先パイ








俺らは、家への方向が同じで、一緒に帰った。




「先パイの家ってどこですか?」


言ってから、ヒヨコちゃんは急いで俯いた。



「ごめんなさいいきなり変なこと言ってしまって。
ず、ずうずうしいですよね?」

「ん?構わないよ。
俺の家は、ここから数分もかからないかな」

「そうなんですか!」

「ヒヨコちゃんの家は?」

「私もここから近いです」

「ヒヨコちゃん、独り暮らし?」

「いえ、家族と暮らしています。
でも、両親も姉も、仕事が忙しいので、独り暮らしみたいなものです」

「そうなんだ。寂しくない?」

「いえ・・・慣れましたね」

「そっか・・・」



慣れることは良いけど、悪い。


って、誰かが言っていたな・・・。





俺の家が見えてきたころ、俺の家の前で何やら作業をする女性を見かけた。

あの人は・・・。




「母さん?」

「あら、リクじゃない。
お帰りなさい」



母さんはヒヨコちゃんに気が付いて、顔をほころばせた。







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