愛された先パイ
母さんに食べられないものや、アレルギーがあるか聞かれたヒヨコちゃんは、恐る恐る家の中に入ってきた。
現在父さんは、若手俳優をデビューさせる育成所で講師を勤めている。
母さんも似たようなもので、モデル事務所で講師をしている。
「さ、どうぞ」
ヒヨコちゃんを自分の部屋へ通すと、ヒヨコちゃんはぽかんっと口を開けた。
無防備な姿が、結構可愛いもんだな。
「き・・・綺麗ですね!」
「そう?」
「シンプルで、綺麗で、ごみなんてないし・・・。
私、男の子の部屋って汚そうなイメージあったんですけど。
先パイの部屋は綺麗で・・・驚きました」
「そんなに褒めてくれるのか・・・。
嬉しいな、ありがとうな」
「い、いえ・・・!」
それから俺たちは他愛もない会話をした。
ヒヨコちゃんのこと、俺のこと。
学校でのこと。
ヒヨコちゃんは、隣町にある高校から来たらしい。
転校理由は、明かしてくれなかった。
多分、何かやむを得ない事情なのだろう。
途中母さんに呼ばれ、下へ降りる。
食事中、母さんはヒヨコちゃんに彼氏がいないことがわかると、俺はどうかと散々聞いていた。
ヒヨコちゃんは特に嫌がらず、
「確かにリク先パイ良いですよね」
と、爆弾発言をして、俺を赤面させた。