愛された先パイ
アツシはとても喜んでいた。
・・・だけど。
「アツシ、座れ。
先生、困っているだろ?」
「あ・・・スンマセン」
先生はアツシを叱ったけど、俺は事情を知られていたので、叱られずに済んだ。
俺はぼんやりと窓から景色を眺めていた。
先生にばれないよう、机に携帯電話を隠し、スケジュール表を開いた。
今週の土曜日、空いているや。
ヒヨコとどこか出掛けようかな?
「成島!」
俺を呼ぶ声がして、急いで携帯電話を机に仕舞う。
「今何をしていた、答えてみろ」
「・・・何もしてません。
プリントをやろうと思ったんですけど」
「じゃあ机に何を隠した」
「何も隠してませんけど」
「授業、聞いていたか」
聞いていなかったけど、何も答えずに黒板を見た。
・・・何だ、この間の復習じゃないか。
聞いていなくてもわかるわな。
「聞いていませんでした」
「成島・・・お前なぁ!」