愛された先パイ
「何の用だって聞いているんだけど?」
「あ・・・あのさ」
「何?」
「・・・さ、さっきのプリント・・・教えてほしいんだけど」
「・・・あぁ」
スッと手を出しただけで、有明たちは驚く。
「早く、プリント見せて」
「う・・・うん」
有明から渡されたプリントは真っ白ではない。
だからと言って、数式が書かれているわけではない。
有明のプリントに書かれていたのは、絵だった。
落書きでもしてたのか、有明たちは。
有明は女子6人グループのリーダー格。
グループのメンバーは、今有明と席が近い。
授業中関係のないお喋りをして盛り上がり、担任や担当教科の先生に叱られている。
「・・・ハァ」
俺は溜息をついて、プリントを有明に返した。
「えっ・・・リク?」
「授業中聞かないくせに、俺に聞こうとは思わないで。
授業を聞いてもわからないのなら、俺の所に来て。
そうしたら俺も教えるから」
「リク・・・」
「それから」
俺は有明の言葉を遮った。