愛された先パイ
5
梓さんが死んだのはまあ悲しいけど。
ヒヨコと帰れるようになったのは嬉しかった。
校門で俺を待つヒヨコを見ると、自然に笑顔がこぼれた。
「ヒヨコっ!」
「先パイ!!」
俺のクラスから噂は流れ、ヒヨコが俺と付き合っていることは、学園中の皆が知っている話となった。
でもヒヨコは一応俺のことを「先パイ」と呼んでいた。
「そういえばヒヨコ。
クラスに友達出来た?」
「・・・実は、まだなんです」
「そうか・・・」
「最初は物珍しさからなのか、話しかけてくれる子はいました。
でも、日に日に少なくなっていってしまって。
今では誰も話しかけてくれませんね・・・」
「そうなんだ・・・」
「自分から話しかけようとしました。
メアドも頑張って交換しました」
「・・・ならその子友達じゃない?」
「その子、先パイのことが好きだったみたいで。
私が先パイと付き合っているということを聞いた次の日、その子は私に話しかけてはくれませんでした。
メアドも何も言わずに変えてしまったようで・・・」
「・・・何、それ」
俺が好きだから、俺と付き合うヒヨコが嫌いになった、だと?
・・・んなの、許されるかよ。
信じられねぇよ。
ヒヨコヲ傷ツケル奴ハ、許サナイ。